Publication

Doctoral Dissertation, Graduate School of Environment and Information Sciences, Yokohama National University (2019)
Study on Lubrication Condition Monitoring of Rolling Bearings ―Development of Electrical Impedance Method―

Author

Taisuke Maruyama

Category

Doctoral Dissertations

Abstract

地球の温暖化に伴い,様々な機械のしゅう動部に用いられる転がり軸受には更なる低トルク化が求められている.そのため,転がり軸受に用いられている潤滑剤の低粘度化や低油量化が避けられない状況になってきており,その結果としてEHD(elastohydrodynamic)接触域における油膜の破断が懸念されている.従って,転がり軸受の更なる低トルク化だけでなく長寿命化も両立する必要があり,そのためには潤滑状態をモニタリングできる技術が必要不可欠となる.従来,潤滑状態を把握する技術として光干渉法(optical interferometry)が主として用いられてきたが,実際の軸受に適用することはできない. そこで,本研究ではEHD接触域における油膜厚さと油膜の破断率を同時にモニタリングできる電気インピーダンス法(electrical impedance method)を開発した.本手法は,電気的手法であるため,実際の転がり軸受に適用可能である.EHD接触域に交流電圧を印加した際に生じる複素インピーダンスから,油膜厚さと油膜の破断率を同時に測定できることを理論的に示した. 続いて,本研究で開発した電気インピーダンス法の測定精度について検証するため,ボールオンディスク型の要素試験機を用い,従来手法である光干渉法による油膜測定結果と比較した.電気インピーダンス法と光干渉法を同時に適用するため,ガラス製ディスク試験片にITO(indium tin oxide)膜をスペーサー膜として被膜した.そして,引き込み速度,すべり率,垂直荷重,粘度を変化させた試験を行い,いずれの試験条件においても光干渉法に匹敵する油膜測定精度を有していることを確認した.また,枯渇潤滑における油膜厚さの測定結果もほぼ一致し,そのメカニズムについて考察した.更に,本手法を用いて測定される油膜の破断率は摩擦係数と傾向が一致し,これも定量的に評価できることを確認した. 次に,本手法を実際の転がり軸受に適用するための予備試験として,ガラス製ディスク試験片の代わりに,軸受鋼製ディスク試験片を用いた要素試験を行った.その結果,摩耗が生じない場合,鋼同士の接触でも油膜厚さを精度良く測定できることを確認した.一方,摩耗が生じる場合,理論油膜厚さよりも厚く評価されることがわかった.但し,これらの結果から,本手法は摩耗発生の有無についてもモニタリングできることが示唆された. 最後に,実際の転がり軸受に本手法を適用した結果,せん断発熱を伴わない低速度域では油膜厚さを精度良く測定できることを確認した.しかし,高速度域では潤滑油のせん断による発熱だけでなく,枯渇潤滑も生じていることがわかり,理論油膜厚さとの比較検証はできなかった.但し,軸受トルクが油膜厚さや油膜の破断率と連動する結果が得られたことから,本手法は実際の軸受における潤滑状態を定量的にモニタリングできることが示唆された. 以上の結果より,本研究で開発した電気インピーダンス法は実際の転がり軸受を用いた潤滑状態モニタリングへ適用可能であり,軸受の更なる低トルク化と長寿命化の両立に欠かすことのできない技術であると言える.